この記事では酒税法第3条第9号(連続式蒸留焼酎)および10号(単式蒸留焼酎)、11号(みりん)を取り上げます。焼酎の条文が2つに分かれているのは蒸留方法が異なるためです。
まず、蒸留の「連続式」と「単式」の違いについては以下のサイトに詳細が記されているので、参考にしてください。
リカーページ「単式蒸留と連続式蒸留の違いとは?初心者向けに簡単解説!」
第9号「連続式蒸留焼酎」について解説します。条文は以下の通りです。
九 連続式蒸留焼酎 アルコール含有物を連続式蒸留機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸留しつつ、フーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸留機をいう。次号イ及び第四十三条第六項において同じ。)により蒸留した酒類(これに水を加えたもの及び政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が二度未満のものに限る。)を含み、次に掲げるものを除く。)で、アルコール分が三十六度未満のものをいう。
イ 発芽させた穀類又は果実(果実を乾燥させ若しくは煮つめたもの又は濃縮させた果汁を含み、なつめやしの実その他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)を原料の全部又は一部としたもの
ロ しらかばの炭その他政令で定めるものでこしたもの
ハ 含糖質物(政令で定める砂糖を除く。)を原料の全部又は一部としたもので、そのアルコール含有物の蒸留の際の留出時のアルコール分が九十五度未満のもの
ニ アルコール含有物を蒸留する際、発生するアルコールに他の物品の成分を浸出させたもの
酒税法における連続式蒸留焼酎の定義、
(1)連続式蒸留機で蒸留する (2)アルコールの割合が36%未満 (3)政令に定められた物をエキス2%未満で加えられた
第10号「単式蒸留焼酎」の条文は以下の通りです。
十 単式蒸留焼酎 次に掲げる酒類(これらに水を加えたものを含み、前号イからニまでに掲げるものに該当するものを除く。)でアルコール分が四十五度以下のものをいう。
イ 穀類又は芋類、これらのこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を連続式蒸留機以外の蒸留機(以下この号及び第四十三条第七項において「単式蒸留機」という。)により蒸留したもの
ロ 穀類のこうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの
ハ 清酒かす及び水若しくは清酒かす、米、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物又は清酒かすを単式蒸留機により蒸留したもの
ニ 砂糖(政令で定めるものに限る。)、米こうじ及び水を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの
ホ 穀類又は芋類、これらのこうじ、水及び政令で定める物品を原料として発酵させたアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が穀類又は芋類(これらのこうじを含む。)の重量を超えないものに限る。)
ヘ イからホまでに掲げる酒類以外の酒類でアルコール含有物を単式蒸留機により蒸留したもの(これに政令で定めるところにより砂糖(政令で定めるものに限る。)その他の政令で定める物品を加えたもの(エキス分が二度未満のものに限る。)を含む。)
連続蒸留焼酎を「甲類焼酎」、単式蒸留焼酎を「乙類焼酎」と呼ばれることがありますが、これは昔の酒税法の区分が由来です。現在の法律で削除された第4条が焼酎、みりん並びに雑酒に関する条文です。昭和28(1953)年改正時の内容は以下の通りです。
衆議院 立法情報 酒税法(昭和28年2月28日改正)
第四条 焼ちゆう及び味りんは、それぞれ、甲類及び乙類に分類する。
2 焼ちゆう甲類は、焼ちゆうのうち、その蒸りゆうの方法が連続式蒸りゆう機(連続して供給されるアルコール含有物を蒸りゆうしつつフーゼル油、アルデヒドその他の不純物を取り除くことができる蒸りゆう機をいう。以下同じ。)によるものとする。
3 焼ちゆう乙類は、焼ちゆうのうち、その蒸りゆうの方法が連続式蒸りゆう機によるもの以外のものとする。
4 味りん甲類は、味りんのうち、その比重が摂氏十五度の時において重ボーメ度三度をこえるものとする。
5 味りん乙類は、味りんのうち、味りん甲類以外のものとする。
6 雑酒は、政令で定める品目に分ける。
調味料として使われるみりんも酒税法で管理される酒類の一つです。「みりん風調味料」は異なるもので、こちらは酒税法の管理外になります。
第11号「みりん」の条文は以下の通りです。
十一 みりん 次に掲げる酒類でアルコール分が十五度未満のもの(エキス分が四十度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。
e-GOV 法令検索
イ 米及び米こうじに焼酎又はアルコールを加えて、こしたもの
ロ 米、米こうじ及び焼酎又はアルコールにみりんその他政令で定める物品を加えて、こしたもの
ハ みりんに焼酎又はアルコールを加えたもの
ニ みりんにみりんかすを加えて、こしたもの
みりんの基本的な製法は以下の通りです。
(1)蒸したもち米に米麹を混ぜる
(2)焼酎または醸造アルコールを加えて60日程度室温で熟成
糖化工程はありますが、アルコール発酵はありません。原料にアルコールを含む物を使っているので、酒類の扱いとなっています。