醸造酒・蒸留酒・混成酒の違い

酒税法第2条と第3条では発泡性酒類、醸造酒類、蒸留酒類、混成酒類と4つの単語が出てきますが、発泡性酒類以外は法律条文内には定義が書かれていません。
この記事では法律から離れて一般的な内容の話をします

酒の区分は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3つに分かれます。酒税法に定義されている発泡性酒類のうち、ビール、発泡酒は醸造酒に含まれます。
それぞれの酒に関しての解説を以下に記します。

1.醸造酒 ウィキペディア
ウィキペディアではこの様に記述されています。

原料を酵母によりアルコール発酵させて作られた酒。蒸留などの作業を経ずに、基本的にアルコール発酵させたままの状態で飲まれるものをいう

ここで書かれている原料は、「糖類が多く含まれているもの」が必須条件となります。詳細は省きますが、酵母は糖(ブドウ糖)からエタノールと水、二酸化炭素を生成します。詳しくはウィキペディアのアルコール発酵をご覧ください。
醸造酒には発酵の工程が単発酵と単行複発酵、並行複発酵の3種類があり、表にすると以下の様になります。
単発酵は糖からアルコールに変わる工程のみの発酵、単項複発酵はデンプンを糖類に分解する糖化処理をした後にアルコール発酵が行われます。並行複発酵は糖化工程とアルコール発酵が同時に行われます。

発酵の種類原料該当する酒
 単発酵 葡萄などの果物、蜂蜜などワイン、シードル、蜂蜜酒など
単行複発酵 米、麦などビールなど
並行複発酵 同上 日本酒、黄酒(紹興酒)など

2.蒸留酒 ウィキペディア
ウィキペディアでの定義づけは以下の通りです

蒸留酒(じょうりゅうしゅ)とは、醸造酒蒸留して作ったである。スピリッツ(spirits)とも呼ばれる。
基本的にはアルコール度数が高いものの、蒸留後に加水した場合でも蒸留酒とされるので、アルコール度数を大きく落とすことも可能である。


言い換えると、「醸造酒を蒸留という工程を経てアルコール度数を高めた酒」となります。
焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、メスカル(テキーラ含む)等がこれにあたります。酒税法での区分は以下の通りです。焼酎の「甲類」ならびに「乙類」は昔の酒税法に記されていた区分であり、優劣を与えるものではありません。
・連続式蒸留焼酎(いわゆる「甲類焼酎」)
・単式蒸留焼酎(いわゆる「乙類焼酎」、「本格焼酎」)
・ウイスキー
・ブランデー
・原料用アルコール(日本酒では「醸造アルコール」と裏ラベルに書いてある)
・スピリッツ (ジン、ウォッカ、ラム、メスカルなど)

3.混成酒 ウィキペディア
ウィキペディアの「概要」では、この様に記述されています。

醸造酒蒸留酒と並ぶ、酒類(アルコール飲料)の分類であり、醸造酒や蒸留酒を原料に植物の皮や果実薬草ハーブ香辛料甘味料香料などの成分を配合した酒のことである[1]
醸造酒主体のものでは味醂、蒸留酒主体のものではリキュールが代表的である。

梅酒などの果実酒、サングリアなどもこれに含まれます。
梅酒を漬けるときに「アルコール度数20%以上の酒を使わなければならない」というのがありますが、酒造法施行令にそれに関する記述(第50条第14項第1号)があります。条文は以下の通りです。「法」は酒税法を指します。

14 法第四十三条第十一項に該当する混和は、次の各号に掲げる事項に該当して行われるものとする。
一 当該混和前の酒類は、アルコール分が二十度以上のもの(酒類の製造場から移出されたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき又は保税地域から引き取られたことにより酒税が納付された、若しくは納付されるべき若しくは徴収された、若しくは徴収されるべきものに限る。)であること。

括弧内の意味は「課税済みまたは課税されるべき酒」ということで、一般消費者にとっては酒屋やスーパーで売っている酒と考えて良いです。

(2023年8月16日)
文章の一部を訂正しました。
(2024年5月4日)
文章の一部を訂正、加筆しました。

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