お酒の種類(1) 清酒(日本酒)・合成清酒

(2025年6月11日編集)

「酒って何?―お酒の定義」では大きな区分について触れましたが、この記事からは具体的な酒の種類について書きます。

まず酒税法(以下「法」)の並びに従い、日本酒(法上では「清酒」と記載)を解説します。法第3条第7号にはこの様に書かれています。

七 清酒 次に掲げる酒類でアルコール分が二十二度未満のものをいう。
イ 米、米こうじ及び水を原料として発酵させて、こしたもの

ロ 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させて、こしたもの(その原料中当該政令で定める物品の重量の合計が米(こうじ米を含む。)の重量の百分の五十を超えないものに限る。)
ハ 清酒に清酒かすを加えて、こしたもの

イ、ロ、ハの違いは、イが純米酒、ロがアル添酒にあたります。ハは「粕四段仕込み」と言われる仕込みの一つで、通常の三段仕込が終わった後に清酒の粕を加えることですお酒の香りを良くしたり、雑味を取り除く効果があります。

さて、条文上にある「こしたもの」というのがありますが、この「こす」に関する定義は法の中にはありません。上槽と呼ばれる工程がこの「こす」にあたります。どぶろくとにごり酒は漢字ではどちらも「濁酒」と書きますが、にごり酒は「こしたもの」であるので裏ラベルには「清酒」と記されています。
(2019年3月6日 追記)
上記の「こす」定義ですが、国税庁のサイトにある「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」のページに記載がありました。第3条「その他の用語の定義」にあります。以下引用します。

11 「こす」の意義
 酒類の製造方法の一つである「こす」とは、その方法のいかんを問わず酒類のもろみを液状部分とかす部分とに分離する全ての行為をいう。

酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達  第3条 その他の用語の定義

次は法第3条8号の合成清酒は以下の通りです。ウィキペディアのリンクも張ります。

八 合成清酒 アルコール(次号の規定(アルコール分に関する規定を除く。)に該当する酒類(水以外の物品を加えたものを除く。)でアルコール分が三十六度以上四十五度以下のものを含む。第十五号ハ及び第十六号ロ並びに第八条第三号を除き、以下同じ。)、焼酎(連続式蒸留焼酎又は単式蒸留焼酎をいい、水以外の物品を加えたものを除く。第十一号において同じ。)又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類(当該酒類の原料として米又は米を原料の全部若しくは一部として製造した物品を使用したものについては、米(米を原料の全部又は一部として製造した物品の原料となつた米を含む。)の重量の合計が、アルコール分二十度に換算した場合の当該酒類の重量の百分の五を超えないものに限る。)で、その香味、色沢その他の性状が清酒に類似するもの(アルコール分が十六度未満でエキス分が五度以上であることその他の政令で定める要件を満たすものに限る。)をいう。

法律の条文は分かりづらいので、整理しますと、
・アルコール、焼酎、清酒とブドウ糖、その他政令で定める物を原料とした酒
・見た目や味は清酒と似ているもので、アルコール度数16%未満、エキス分5%以上、政令にて定める条件を満たすこと
上記2点を満たした物が合成清酒とされます。

まず、最初のアルコールに関する但書は
・アルコールは次号 (第9号以降) の規定に該当する酒類。ただし、アルコール分に関する規定、水以外の物品(ブドウ糖など)を加えたものを除く
・アルコール度数36%以上45%以下の酒類も含む
・第15号(ウイスキー)ハ、第16号(ブランデー)ロ、第8条第3号(アルコール事業法によりアルコール製造免許を得た者が原料アルコールを造る場合)を除く

焼酎に関する但書は
・焼酎は連続式蒸留または単式蒸留のもの
・水以外の物品を加えたものを除く(アルコールの但書と同じ)

清酒とブドウ糖、その他政令で定める物を原料とした酒
・原料に米または米を原料(100%または一部)として使用した物(米エキスなど)の重量合計はアルコール度数20%に換算したときに酒の5%未満

整理した文章を読んでいただいても理解しがたいと思いますが、これは造り方が複数あるため、全てに対応するためにこの様な条文になったと考えます。造り方に関してはウィキペディアをご覧ください。

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